65年前の音

12月はJI4DPE局が運用を担当しています。
DPE局は、真空管ラジオの製作、修理が得意です。今回、直近の修理作業を手記にまとめてもらいましたので紹介します。

【真空管ラジオ】JI4DPE記

家屋解体で捨てられていたST管5球スーパー、昭和28年ごろ製造されたものだ。
古いラジオを見ると、ラジオ少年に戻り修理してみたくなった。
60年以上経過しているので、埃がびっしり、虫の死骸、配線はボロボロだ。
このまま電源入れると危険なので、まずコンデンサーは交換することにした。
しかし、パーツ入れを探しても代替で使える部品はほとんどない。しかたなく現用のミニチュア管のトランスレス5球スーパーを解体して部品調達することにした。数値は多少違うが何とか使えそうだ。少しでもレトロ感を残すため抵抗はそのまま残すことにした。
コンデンサーの取り外しに入るが、配線は空中で抵抗、コンデンサーを絡めてそれぞれの端子へ接続しているので一苦労、取り付けはもっと時間がかつたコスト削減なのか中継端子は一つもなかった。メンテナンスのことなど考えず制作しているようだ。
いよいよ電源投入、いきなり電源を入れると真空管などにダメージを与える恐れがあるので、スライダックで電圧を20V位から40V、 80V、 100Vと徐々に上げて様子をみた。異臭、発煙もなく問題なさそうだ。
それぞれの真空管を取り付けて各電圧を測定する。電力増幅回路⇒低周波増幅回路⇒検波・中間周波回路⇒周波数変換回路と測定を行った。ほぼ規定の電圧は出ているので真空管は大丈夫のようだ。
はたして音が出るかと、ボリューム回すとガリガリと雑音が出る。バリコンを回し選局するとバリバリと雑音がする。バリコンの羽かどこが接触しているようだ。
ボリュームは先に解体したものが流用出来そうなので交換した。
バリコンの羽は拡大鏡で見ながら回していくと接触箇所が見つかり修正をした。これで、ガリガリとバリバリの雑音は収まったが、こんどは放送が受信できない。
以前買っていた真空管ラジオ作りの本があったので調べると、アンテナコイルの断線が考えられるとのことだ。しかし交換用のアンテナコイルはありませんので諦めていた。
やはりアンテナコイルが気になり拡大鏡で何度も見直すと、外部からのアンテナ線とコイルの接続端子の接触不良だった。

ハンダの付け直しをしてから、電源スイッチを入れてしばらくするとスピーカーからブーンと音が出る、ダイヤルをゆっくり回すと音楽が流れてきた。
子供のころに聴いていた少しハム音が残る懐かしい音だ。

65年前の真空管ラジオが甦った、昭和、平成、次ぎの新元号〇〇も故障なく長生きしてくれるだろう。

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